われわれが現在生きている21世紀。その幕開けは「暴力と破壊」で始まってしまった。
あの「911テロ」とその後の無差別テロ、それに対する暴力による報復、さらなる憎しみによる無差別テロ、そのための、正義を振りかざした報復攻撃、そしてまた…。
「暴力の連鎖」という名のメビウスの環が、今この世界を大きく取り囲んでしまっている。22世紀の人たちの目には、今の世界はどのように映っているのだろうか。
この連鎖がどこかで断ち切れないと、人類に未来はない。願わくは、次の世紀には、こうした「暴力の連鎖」が過去(前世紀)の遺物となっていることだ。
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アメリカの、「暴力には暴力を(目には目を)」的な姿勢に、疑問を抱く人は現在、ますます多くなってきている。
しかし、そのアメリカには、かつて「非暴力抵抗」の精神を貫いた、あのキング牧師がいたのだ。彼は、有名な「I have a dream」演説の中で、次のように述べていた。
「私には夢がある。この国(アメリカ)がいつの日か立ち上がり、この国が信条としている、『人間はすべて平等に造られている』と述べている、あの言葉が、真に意味していることを実現していくという、そんな夢がある…」(訳:著者)
「I have a dream(私には夢がある)演説」(冒頭の部分のみ)
〔1963年8月28日リンカーン記念館における演説〕(訳:著者)
I say to you today, my friends so even though we face the difficulties of today and tomorrow, I still have a dream. It is a dream deeply rooted in the American dream.
I have a dream that one day this nation will rise up and live out the true meaning of it’s creed, “We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal”.
I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slaveowners will be able to sit down together at table of the brotherhood.
I have a dream that one day even the State of Mississippi, a state sweltering with the heat of injustice, sweltering with the heat of oppression, will be transformed into an oasis of freedom and justice.
I have a dream that my four little children will one day live in a nation where they will not judged by the color of there skin but the content of their character. ・・・
今日、私がみんなに話そうと思うこと。それは、今日も明日も、私たちはいつも多くの困難に直面しているわけですが、それでもなお、自分には夢がある、ということなのです。それは、アメリカの夢に深く根ざしている、そんな夢なのです。
私は夢をもっています。いつの日か、この国が立ち上がり、そして、この国が信条としている、次の言葉のもつ真の意味を、本当に自分のものとしていく、そんな夢をです。
すなわち、「われらは、『全ての人はみな、(創造主によって)等しく造られている』という、この真理を自明のこととして受け入れる」と謳っている、あの言葉です。
私は夢をもっています。いつの日か、あのジョージア州の赤土の丘の上で、かつての奴隷の子孫と、かつての奴隷主の子孫とが、「兄弟愛」と書かれた食卓の席に、仲良く座っている、そんな夢をです。
私は夢をもっています。いつの日か、不義や抑圧で覆われた、あのミシシッピ州さえも、そうした重苦しい状態から、自由と正義に満ちたオアシスへと変えられていく、そんな夢をです。
私は夢をもっています。いつの日か、私の幼い4人の子どもたちが、彼らの肌の色ではなく、彼らの人間性によって評価される、そういう国に住んでいる、そんな夢をです。
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