■化学賞(1903年 受賞)
【経歴】
1859年2月19日ウプサラ近郊のヴィークに生まれる。78年17歳で入学したウプサラ大学を卒業。91年ストックホルム王立工科大学物理学講師。95年同大学教授。96年同大学学長。1903年ノーベル化学賞受賞。05年ノーベル物理科学研究所所長。27年10月2日腸カタルの発作にみまわれ死去(享年68歳)。
【受賞理由となった業績や活動】
★〔受賞理由〕
「電気解離の理論」により、1903年ノーベル化学賞を受賞。
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★〔その業績や活動〕
スヴァンテ・アレニウスが1903年にノーベル化学賞を受賞した研究業績「電解質の理論」は、電解質溶液の浸透圧、氷点降下、電気伝導率などを、電離説の立場から統一的に説明したものである・・・
というと難しく聞こえるが、要は「溶液中のイオンの生成および速度に関する理論」ということである。これを始めて発表したのが1887年。
それより前の1884年、彼は溶液中の電解質が、陽イオンと陰イオンという「イオン」(電気を帯びた粒子)に分かれていることを主張していた。
この「電解質」というのは、溶液中で電気分解された物質のこと。すなわち、水溶液中でイオンに電離して電気を通す物質のことだ。また、「電解質がイオンに分かれること」を「電離」といっている。
そして、1889年には、現在「アレニウス式」として知られる反応速度の式なども発表したりと、この分野では大きな貢献をしている。
★〔「生命の地球外起源説」にも挑戦したアレニウス〕
アレニウスは、化学の分野のみならず、あらゆる科学にも通じていた。彼が貢献しなかった科学の分野はほとんどなかったとも言われているのだ。
たとえば、彼は「大気中の二酸化炭素の濃度が2倍になると、気温は5度上がる」と指摘したりもした。この、大気中の二酸化炭素濃度が気温の変動に影響を与えるという学説は、やはり19世紀の末に発表されている。
また、宇宙空間を漂っている「生命の種子」を想定し、これが太古に地球上に降り注いだ可能性もあり、地球上の生命の発生にもつながったのではないか、とする「パンスペルミア説」(汎宇宙胚種説)なども提唱。
彼は、そうした生命種子は、「太陽風を受けて、秒速100Kmの速度で宇宙を旅してきた」とまで計算していたのだ。
★〔「これだけは!」○×クイズ〕
次の設問に、「○か×か」で答えよ。
1.「スヴァンテ・アレニウスは、スウェーデンの解剖学者であった」
2.「『電解質』というのは、溶液中で電気分解された物質のことである」
3.「電解質がイオンに分かれることを「蒸散」といっている」
4.「アレニウスは、『大気中の二酸化炭素の濃度が2倍になると、気温は5度上がる』と指摘していた」
5.「アレニウスは、『原子解離の理論』により、1903年ノーベル化学賞を受賞した」
6.「アレニウスは、宇宙空間を漂っている『生命の種子』が、太古の地球上に降り注いだ可能性も指摘していた」
7.「『パンスペルミア説』とは、『溶液中のイオンの生成に関する仮説』である」
8.「アレニウスは、『アレニウス式』として知られる反応速度の式なども発表している」
答え:1.「×」、2.「○」、3.「×」、4.「○」、5.「×」、6.「○」、7.「×」、8.「○」
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