「ナッシュ, J. F.(1928~)」(アメリカの数学者)

経済学賞(1994年 受賞)

【経歴】

1928年6月13日アメリカのウェスト・バージニア州に生まれる。45年17歳のときカーネギー・メロン大学に入学、途中で化学から数学に専攻を変更。48年学士と修士を取得、プリンストン大学へ進学。49年21歳のとき博士学位論文作成、発表。50年5月27頁からなる博士学位論文「『非協力』ゲーム理論(ナッシュ均衡)」により博士号取得。その後マサチューセッツ工科大学で講師。57年アリシアと結婚。58年発病(統合失調症)、以後度々精神科に入院。62年アリシアと離婚。94年(66歳のとき)ノーベル経済学賞受賞。2001年アリシアと再婚。

【受賞理由となった業績や活動】

★〔受賞理由〕

「経済学における『ゲーム理論』を大きく発展させた業績」に対して、1994年ノーベル経済学賞受賞。

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★〔その業績や活動〕

アメリカの数学者ジョン・フォーブス・ナッシュは1949年、彼がプリンストン大学に在学中の21歳のとき、「『非協力』ゲーム理論」を確立した。

これを学位論文として提出し、22歳のときに博士号を取得したのだ。彼が「若き数学の天才」と呼ばれた所以である。

ところが、前途有望だったはずの彼が、不幸にもある病気に罹ってしまう。30歳頃より、妄想型の精神分裂病(最近は統合失調症という)が彼をたびたび悩ますのだった。

やがて教職も失い、学界からも忘れ去られ、彼自身、自己喪失にも陥り、その後何年も精神的苦痛にさいなまれるのである。その間には、精神科に入院することも度々あった。が、やがて彼は自分をとりもどし、社会復帰を果たすのである。

そして、彼が22歳のとき発表した「ゲーム理論」(ナッシュ均衡)の真価がようやく認められ、1994年に60歳代になっていたナッシュに、ノーベル経済学賞が贈られることになったのである。経済学部門での数学者の受賞は、これが初めてだった。

そう、彼こそは映画『ビューティフル・マインド』のモデルとなった天才数学者ジョン・ナッシュだったのだ。
映画の中でも、闘病の人生を歩んでいくナッシュ、そしてその彼を懸命に支えていく妻アリシアの姿を描いており、多少の脚色はあるが、事実に沿ったストーリーになっている。
まだご覧になっていない方は、さっそくレンタルビデオ店へ!

(『ビューティフル・マインド』; ロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー出演)

★〔「ゲーム理論」とは?〕

ところで、彼のノーベル経済学賞の受賞理由となった「ゲーム理論」とは、どんなものなのだろうか?

「自分がこうすると、相手(ライバル)はそれに対してどう出るだろうか?相手(ライバル)がそのように来たなら、自分はこのように出よう」といったように、経済活動といえども、それは駆け引きの積み重ねであり、常に意思決定の連続である。相手の行動が、常に自分の次の行動に影響を与えているのである。

そうした駆け引きのメカニズムを解明するのが「ゲーム理論」。だから、これは「戦略的行動の科学」とも言えるものなのだ。最近では経済学の理論のみならず、政治やそれに結婚など社会問題の分析にも使われているようだ。

ともかく、「ゲーム理論」とは、「個人が何故そういう行動をとるに至るのか」を理解していくうえでも役に立つ理論というわけである。

そして、ナッシュが打ち立てた「『非協力』ゲーム理論」(Non-cooperative Games)とは、それまでの経済学を人間行動全般にまで拡張し、「戦略行動」や「意思決定」をさらに厳密に分析することを可能にしたものだった。

この理論では、ライバルと対立する際の行動のみならず、ありふれた個人の(合理的)行動を分析するのにも適している。そして、「ナッシュ均衡」というのは、そうした個人の行動のメカニズムを解く方法(解)のことを指している、というわけだ。

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