「トービン, J.(1918~2002)」(アメリカの経済学者)

経済学賞(1981年 受賞)

【経歴】

1918年3月5日アメリカ・イリノイ州シャンペインに生まれる。39年ハーバード大学卒業後、同大学大学院に進学。40年修士号取得。42年アメリカ海軍将校、ハーバード大学ジュニアフェロー。47年博士号取得。50年イェール大学准教授。55年同大学教授、同大学コウルズ経済研究所所長就任。58年アメリカ計量経済学会会長。61年アメリカ第35代大統領故J.F.ケネディの経済諮問委員会委員。71年アメリカ経済学会会長。81年ノーベル経済学賞受賞。2002年3月11日死去(享年84歳)。

【受賞理由となった業績や活動】

★〔受賞理由〕

「金融市場と歳出、雇用、生産、価格との関係の分析、研究」に対して、1981年ノーベル経済学賞受賞。

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★〔その業績や活動〕

アメリカの経済学者ジェームズ・トービンはハーバード大学時代、あのJ.M.ケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」を読んだことをキッカケに、以後経済学に傾倒していったことが伝えられている。

その後は、大学院にも進み、40年修士号取得、47年博士号取得と、この分野の学問的理解を深めていった。

55年にはイェール大学教授に就任。その後も、経済学会の会長や大統領の経済諮問委員会の委員に選任されている。それほどの逸材だったのである。

55年に発表した論文「動学的集計モデル」では、新古典学派の経済成長モデルに貨幣的要因を導入した。それまでの、初期の経済成長モデルでは貨幣的要因は軽視されていたのである。

また、58年に発表した論文「危険に対する行動としての流動的選好」では、不確実性下における資産保有者の資産選択のさいの危険回避行動などを分析している。

ケインズが「雇用、利子および貨幣の一般理論」で展開している「流動性選好理論」を、この58年発表の論文の中で、「資産選択理論」へと発展させたのである。

69年発表の論文「貨幣理論に対する一般均衡アプローチ」では、新古典学派的な投資理論の欠陥を補った、「q理論」と呼ばれる投資理論を展開した。

彼の研究業績は多岐にわたり、そうした「金融市場と歳出、雇用、生産、価格との関係の分析」などに対して、1981年ノーベル経済学賞が贈られた。

★〔「トービン税」導入をもとめる運動〕

「トービン税」と呼ばれる税がある。これは、トービンが今から約30年も前の、1972年に提唱した「外国為替取引税」のことである。

そのトービン税による税収を、途上国支援や環境保護に利用しようとする動きがある。反グローバリゼーション運動のなかで生まれてきたアイデアだ。

1997年のアジア通貨危機以降に再注目され、為替取引にほんのわずかな(低率の)税を課すことにより、金融市場の不安定性を減少させることを狙ったものだともいう。

たとえば、為替取引に0.1%など、わずかな税率のトービン税を課した場合でも、それが巨額の税収を生むのである。

これにより、途上国の累積債務や貧困、環境破壊など、諸問題の解決の一助になることが期待されている。そういう次第で、各国のNGOが中心となって、トービン税導入をもとめる運動が大きく広がっていったわけである。

★〔「これだけは!」○×クイズ〕

1.「初期の経済成長モデルでは貨幣的要因は軽視されていた」

2.「トービンは、69年発表の論文の中で『q理論』と呼ばれる投資理論を展開した」

3.「『トービン税』とは、トービンが1972年に提唱した『外国為替取引税』のこと」

答え:1.「○」、2.「○」、3.「○」

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