経済学賞(1971年 受賞)
【経歴】
1901年4月30日ソ連のハリコフに生まれる。初期ソ連政権下で、一時ウクライナの統計局主任を務める。22年アメリカへ移住、コロンビア大学で学ぶ。26年同大学で博士号取得(「周期的変動」の研究)。27年NBER(米経済研究所)研究員、29年から連邦政府商務省との共同研究でアメリカの国民所得の研究に従事。30年ペンシルバニア大学助教授。36年同大学教授。49年アメリカ統計学会会長。54年アメリカ経済学会会長、ジョンズ・ホプキンズ大学教授。60年ハーバード大学教授。71年同大学名誉教授、同年ノーベル経済学賞受賞。85年7月9日死去(享年84歳)。
【受賞理由となった業績や活動】
★〔受賞理由〕
経済成長に対する経験主義的解釈により、社会構造や発展過程に斬新で深い洞察をもたらした功績により、1971年ノーベル経済学賞受賞。
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★〔その業績や活動〕
最近は使われなくなっているが、一頃はよくニュースなどで、「国民総生産」(GNP)という言葉を耳にしたことがあるかと思う。でも、「それって何だっけ?」という声も聞こえてきそうだ。
「国民総生産」とは、経済成長を表す尺度で、「国の豊かさを示す指標」のことだった。
もう少し、専門的な言い方をすると、「一国の一定期間の富の総量を表す指標」ということになる。
これはもともと、アメリカの物的生産の成長を示す指標として、サイモン・クズネッツが、第二次世界大戦中に発明したものだったのだ。
彼は、アメリカの「国民所得」と「国民生産」に関する研究を包括的に進めていき、この分野で指導的役割を果たしていたのである。
さらに、彼は有名な「クズネッツ循環」(※)の発見者としても知られている。
どんなものかというと、「近代の経済成長において、景気変動は15年から25年の、約20年の周期で生じている」とするもの。
だから、クズネッツが見つけた「景気変動の周期(循環)」となるわけである。
ほかに彼は、平均消費性向の長期的安定性を立証。それをまとめた著書「国民所得と資本形成1919-1935」を37年に出版。
「所得と貯蓄における所得上位層の割合」(53年出版)の中では、所得分配の均等化傾向を主張している。また、「近代経済成長の分析」(66年出版)では、近代経済成長を統計的、数量的に分析した。
他にも、「国民所得」(46年)、「アメリカ経済における資本」(61年)、「成長、人口および所得分配」(79年)など、経済学に関する著書多数。
こうした「近代の経済成長に関する多くの斬新な解釈や考察」に対して、71年にはノーベル経済学賞が贈られている。
★〔「これだけは!」キーワード〕
【クズネッツ循環】
約20年の周期を持つ景気循環のこと。その「約20年という周期」は、ビルや工場など建築物の建て替えの時期に起因すると考えられている。このように、建築物の需要に起因する循環なので、「建築循環」ともいう。
★〔「これだけは!」○×クイズ〕
1.「『国民総生産』とは、経済成長を表す尺度で『国の豊かさを示す指標』のこと」
2.「『クズネッツ循環』とは、約60年の周期をもつ『建築循環』のことである」
答え:1.「○」、2.「×」
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