「ロラン, R(1866~1944)」(フランスの小説家)

■文学賞(1915年 受賞)

【経歴】

1866年1月29日フランスのブルゴーニュ地方グラムシに生まれる。高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリユール)で歴史学を専攻、89年卒業。その後、2年間ローマ留学。95年文学博士号取得、ジャン・バチスト・リセ学校で教鞭をとる傍ら、人民劇活動を起こす。また英雄の生涯の中に人道主義的ヒロイズムを見出し、一連の偉人伝を著す。「ジャン・クリストフ」によって、名を不朽のものとする。1915年ノーベル文学賞受賞。44年12月30日死去(享年78歳)。

【受賞理由となった業績や活動】

★〔受賞理由〕

大河小説「ジャン・クリストフ」を中心とした著作の評価により、1915年ノーベル文学賞受賞。

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★〔その業績や活動〕

ロマン・ロランは、ペンを通して平和活動を展開する作家でもあった。

彼の大河小説「ジャン・クリストフ」(全10巻)は、ある一人の天才音楽家の一生を雄大なスケールで描いたものだが、この大作の中でもやはり、人間が人間らしく平和に、そして真実に生きていくことの理想が貫かれている。

そうした、「平和と真実」に向けられた彼の理想は、文学の中だけにとどまらず、実際の活動にも顕れていた。第一次世界大戦中、偏狭な愛国主義の風潮が高まっていた当時のフランスにおいて、「この戦争はどちら側から見ても決して正義の戦争ではない」と主張するなど、絶対平和主義の立場をとっていたのだ。

しかしその結果、フランスからもドイツからも非難され、とくにフランスからは非国民(裏切り者)の扱いを受けたため、中立国のスイスに亡命し、そこで平和運動に専心(約25年間も祖国フランスに戻れなかった)。

★〔理想実現のため?ノーベル文学賞の賞金をすべて寄付!〕

ロランは、分裂したヨーロッパ諸国が精神的にも文化的にも融合することを理想とし、最終的にはヨーロッパ共和国の実現を考えていたようだ。EU統合という思想も、このロランの提唱が基になっていたのである。

代表作「ジャン・クリストフ」は高い評価を受け、それにより1915年に受賞した賞の賞金はすべて、国際赤十字や社会事業団などに寄付された。

★〔主にどんな作品があるか〕

「狼」(1898年)、「理性の勝利」(1899年)、「ダントン」(1900 年) などの革命劇、「民衆演劇論」(論文)、「ベートーベン」(1903 年)、「ミケランジェロ」(1906年)、「トルストイ」(1911 年)などの偉人伝、「ジャン・クリストフ」(全 10 巻・1904 年~12 年)、論文集「戦火を超えて」(1915年)、「魅せられたる魂」(1922年~23年)、戯曲「愛と死の戯れ」(1925年)、自伝「内面の旅路」(1942年)

★〔「これだけは!」二択クイズ〕

1.「ロマン・ロランは、第一次世界大戦中、どんな扱いを受けたか?」

A「英雄扱い」orB「非国民扱い」

2.「大河小説『ジャン・クリストフ』に出てくる主人公はどんな人物か?」

A「天才音楽家」orB「映画俳優」

3.「ロマン・ロランが亡命した先はどこか?」

A「スイス」orB「イタリア」

4.「ロマン・ロランの偉人伝にないものは?」

A「パスツール」orB「ベートーベン」

3.「ロマン・ロランが戦争中にとった立場は?」

A「完全主義」orB「平和主義」

(答え:1「B」、2「A」、3「A」、4「A」、5「B」)

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