■物理学賞(1933年 受賞)
【経歴】
1887年8月12日ウィーンに生まれる。1906年ウィーン大学入学。20年から21年にかけてイェーナ大学とシュトットガルト工業大学で助教授、ブレスラウ大学で教授を歴任。21年チューリッヒ大学教授。27年ベルリン大学理論物理学教授。33年イギリスに移住、オックスフォード大学モードリン・カレッジ特別研究員、ノーベル物理学賞受賞。39年ダブリン高等研究所入所。56年オーストリアに帰国、ウィーン大学教授。61年1月4日ウィーンにて死去(享年84歳)。
【受賞理由となった業績や活動】
★〔受賞理由〕
「波動力学(量子力学)の研究」に対して、1933年ノーベル物理学賞受賞。
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★〔その業績や活動〕
前に述べたド・ブローイは、アインシュタインの「特殊相対性理論」に基づいて、電子などの粒子が波動としての性質をもつことを示唆し、これを「物質波」として論文で発表した。そのド・ブローイの論文がキッカケになって、「波動力学」を研究しはじめたのが、エルヴィン・シュレーディンガーなのである。
実は、あのド・ブローイも1926年に、「波動方程式」を立てていたのだが、それはまだ完璧なものではなかったという。完璧な「波動方程式」を組み立てたのは、シュレーディンガーだったのだ。(ド・ブローイとは独立で、同じ年に発表)
また、ハイゼンベルグは、量子力学を行列形式で表した「行列力学」と呼ばれるものを発表していたのだが、これもシュレーディンガーが「波動方程式」を発表すると、そちらのほうが優れていたため、すぐに取って代わられた。
しかしその後、シュレーディンガーによって、両理論は数学的には等価であることが示された。こうして、両者を統合した「波動力学」(量子力学)が成立したのだった。
そして、そうした「波動力学(量子力学)の研究業績」により、シュレーディンガーは1933年、ノーベル物理学賞を受賞するのである。
★〔世界的に著名な物理学者の、意外でユニークな一面〕
シュレーディンガーは、「波動方程式」を完成させたほどの物理学者であるが、ハイゼンベルグ同様、どこか哲学者っぽい一面ももっていたようだ。
実際、大学で物理学を専攻するも、哲学に専念したいという思いを長く捨てきれずにいた、とも伝えられる。彼の著書にも、物理学に関するもののほか、「古代インド哲学」など、哲学に関するものなどがあった。
そんな彼が、1935年に提唱した「量子論における禅問答」のようなパラドックスがある。『シュレーディンガーの猫』というのがそれだ。(「コラム」参照)
また、ブリュッセルのソルヴェイ会議の際など、彼はリュックサックを背負っていて、どこか放浪者風にも見られたため、予約しておいたホテルにもなかなか入れてもらえなかったという、そんなユニークな一面まであるのだ。
★〔「これだけは!」○×クイズ〕
次の設問に、「○か×か」で答えよ。
1.「ハイゼンベルグは、量子力学を行列形式で表した『行列力学』と呼ばれるものを発表していた」
2.「『波動力学(量子力学)の研究業績』により、ハイゼンベルグは1933年、ノーベル物理学賞を受賞した」
3.「『シュレーディンガーの猫』というのは、シュレーディンガーがいつもリュックサックの中に入れて、どこに行くにも世話をした『猫』のことをいう」
答え:1.「○」、2.「×」、3.「×」
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