「メチニコフ, I.I(1845~1916)」(フランスの細菌学者)

■生理学・医学賞(1908年 受賞)

【経歴】

1845年5月15日ウクライナのハリコフで生まれる。62年ハリコフ大学入学(17歳)。64年卒業。その後ギーセン大学、ナポリ大学などを遊学。67年帰国後に動物学の修士号取得。68年ペテルブルク大学動物学助教授。70年オデッサ大学動物学及び比較解剖学教授。86年オデッサの細菌学研究所所長。88年パスツール研究所所員。95年同研究所所長。1908年ノーベル生理学・医学賞受賞。16年7月16日パリで死去(享年71歳)。

【受賞理由となった業績や活動】

★〔受賞理由〕

「免疫に関する貢献」により、1908年ノーベル生理学・医学賞受賞。

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★〔その業績や活動〕

イリヤ・メチニコフは、ドイツ留学中に動物学や進化の研究に専念していた。また、海綿やヒトデの消化についての研究の際、それらの生物の体内にある遊走細胞が異物を食べていることなどを発見。

その後もこの研究は、オデッサの研究所やパスツール研究所などでも、引き続き行われることとなる。そして、ヒトの白血球にも同様の「食作用」があることを発見するのである。

すなわち、細菌がヒトに感染すると、ヒトの血液中にある多数の白血球が感染箇所に移動し、体内に侵入しようとする細菌を次から次へと飲み込んでいく。こうすることで、細菌や毒素といった異物から、ヒトの身をまもっているのである。

メチニコフは、この「食作用」がヒトを異物からまもる抵抗力(免疫力)となっていることを説いたのだ(免疫学説)。同時に、傷口などに見られる膿とは、細菌と戦って死んだ、大量の白血球の死骸であることなども示したのだった。

彼は1903年、そうした説を『伝染病における免疫性』という本にまとめ、これを出版。やがて、この「免疫学説」が広く認められ、メチニコフは1908年にノーベル生理学・医学賞を受賞することとなる。

★〔「ヨーグルト不老長寿説」とは〕

メチニコフといえば、乳酸菌やヨーグルトの研究でも名高い。彼は、人間の本来の寿命は150年であるとし、それは乳酸菌の飲用によって達成できると考えていたのだ。

実は、彼はヨーグルトの研究というより、老衰を防ぐ研究に専念し、そのために老齢の原因と考えられていた動脈硬化の対策として、乳酸菌やヨーグルトの効果を試し続けていたのである。彼は自らも、自家製のヨーグルトを食し続けたという。

しかし、皮肉なことに、メチニコフはやがて、動脈硬化を伴った尿毒症を発症し、それによって命を落としてしまうのである。それでも、「ヨーグルト不老長寿説」だけはその後も長いこと、一部の人からは支持されていくのである。

★〔「これだけは!」○×クイズ〕

次の設問に、「○か×か」で答えよ。

1.「ヒトの白血球にも「食作用」と呼ばれる現象がある」

2.「メチニコフは、パスツール研究所でも実験を続けていた」

3.「メチニコフのノーベル賞受賞理由は、『ヨーグルト研究に関する貢献』だった」

4.「『ヨーグルト不老不死説』は、彼の晩年の研究テーマだった」

5.「『食作用』は、ヒトデの消化の研究の際に発見されたものだった」

答え:1.「○」、2.「○」、3.「×」、4.「×」、5.「○」

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