「意思決定」とは、「諸前提から結論を選択する過程」のことを指し、その過程には、「意思決定前提」→「代替案の列挙」→「代替案の選択」という流れがあり、これを経て成り立つと考えられた。
★「意思決定前提」には、
1.「価値前提」(経験的な検証不可能);主観的な価値観から意味を有するもの
2.「事実前提」(経験的な検証可能);客観的な真実を有するもの(知識、技術、情報)
とがある。
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★「代替案の列挙」(意思決定に必要な代替案を全て列挙する過程)
1.望む目的に到達するのに適していると思われる「全ての代替的戦略」の列挙
2.それら各々の戦略から生ずる結果の全てを予測
3.それらの結果の比較評価
だが実際には、
1.代替案を全て列挙するのは不可能(全ての代替案を挙げることは無理)
2.結果を完全に予測するのは不可能(完璧に未来を予測することは無理)
3.結果を評価するのは困難(不完全な代替案を評価することは困難)
(つまり、到達できるのは「完全な合理性」ではなく、「制限された合理性」となる)
★「代替案の選択」
最もよい代替案を選択して実行することになるが、それも「代替案の列挙」で到達できた「制限された合理性」の範囲の中でとなる。
よって「意思決定」を完璧に行うことは人間には不可能である。結局、ある程度満足できるところ(満足化基準)で、「意思決定」がなされている。
サイモンは、この 「制限された合理性」にしか到達できない人間モデルを、「経営人」と呼び、「客観的な合理性」に到達できると仮定した「経済人」とは区別した。このことを「経営人モデル」(経営人仮説)と呼んでいるのである。
よって、企業活動においても、実際の意思決定は、「完全な合理性」に基づいて最適化行動を行う「経済人」によるのではなく、「制限された合理性」に基づいて満足化行動を行う「経営人」によって、行われているのである。
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